コールセンターの仕事を始めたばかりの頃は、マニュアルを読むだけで精一杯になることがあります。
「次に何を言えばいいのか」
「案内を間違えてはいけない」
「正しい順番で説明しないといけない」
そう考えるのは、とても自然なことです。
特に未経験のうちは、手元のマニュアルを追うことで頭がいっぱいになり、お客様の反応まで意識する余裕がなくなることがあります。
もちろん、マニュアルを守ることは大切です。
正しい案内をすることも大切です。
しかし、電話応対の目的は、マニュアルを読むことではありません。
正しい案内を機械的に伝えることだけでもありません。
困って電話をしてきたお客様の話を受け止め、必要な案内を行い、少しでも安心してもらうこと。
これが本来の目的です。
たとえば、保険請求の受付であれば、事故に遭った方、被害を受けた方、病気になった方から電話が入ることがあります。
別の窓口でも、商品が届かない、手続きがわからない、サービスが使えない、請求内容に不安があるなど、お客様は何かしら困った状態で電話をしてきます。
だからこそ、マニュアルや正しい案内は大切です。
ただし、それは目的ではなく、お客様に安心してもらうための手段です。
お客様は、完璧な読み上げを聞きたいわけではありません。
自分の状況をわかってほしい。
これから何をすればよいのか知りたい。
ちゃんと受け付けてもらえた、対応してもらえたと安心したい。
そのため、電話応対では、相手の反応を見ながら案内することが大切になります。
マニュアルを読むだけで精一杯になることがある
未経験で電話応対を始めると、最初はどうしても自分が話すことに意識が向きます。
「噛まずに読まないと」
「案内を飛ばしてはいけない」
「間違えたらどうしよう」
このように考えることは、誰にでもあります。
それだけ、最初の電話応対は緊張するものです。
ただ、お客様はマニュアルを聞きたいわけではありません。
自分の状況をわかってほしい。
これから何をすればよいのか知りたい。
ちゃんと対応してもらえていると安心したい。
そう思って電話をされています。
こちらがマニュアルを読むことだけに必死になってしまうと、お客様は置いていかれたように感じることがあります。
もちろん、マニュアルを外れて自己流で対応してよいという意味ではありません。
マニュアルは守る。
そのうえで、相手の反応を見ながら案内する。
この両方が大切です。
マニュアルを守ることの大切さについては、こちらの記事でも詳しく書いています。
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早く話すより、反応を見ながら案内する
電話応対で大切なのは、早く話すことではありません。
自分が説明したことに対して、お客様が理解しているか。
納得しているか。
不安が少しでも軽くなっているか。
そこを確認しながら進めることが大切です。
新人のうちは、早く案内を終わらせようとしてしまうことがあります。
沈黙が怖くて、つい話し続けてしまうこともあります。
しかし、電話の向こうのお客様は、こちらの説明を聞きながら、自分の状況と照らし合わせています。
「自分の場合はどうなるのか」
「これで手続きは進むのか」
「この後、何をすればいいのか」
そう考えながら聞いています。
そのため、こちらが一方的に話し続けると、お客様の理解が追いつかないことがあります。
説明した後に少し間を置く。
お客様の返事を確認する。
不安そうであれば、もう一度整理して伝える。
このような小さな確認が、安心につながります。
家族と話す時の話し方のままでは伝わらないことがある
普段、家族や友人と話す時の話し方と、仕事での電話応対は違います。
家族なら、多少聞き取りにくくても雰囲気で伝わることがあります。
言葉が足りなくても、関係性で補えることがあります。
しかし、電話の相手は初めて話すお客様です。
表情は見えません。
身振り手振りも使えません。
声と言葉だけで伝える必要があります。
そのため、滑舌が悪かったり、語尾が小さかったり、早口だったりすると、相手には内容が伝わりにくくなります。
「何を言っているかわからない」
「説明が聞き取りにくい」
「ちゃんと対応してもらえているのか不安」
そう感じられると、それだけでお客様の不安が大きくなることがあります。
電話応対は仕事です。
必要であれば、仕事用の話し方に変える意識も必要です。
普段の自分のままで通用しない部分があるなら、仕事用の自分を少し演じるくらいでちょうどよいです。
はっきり話す。
語尾まで丁寧に伝える。
早口になりすぎない。
お客様の反応を待つ。
それだけでも、相手に与える安心感は変わります。
お客様はいきなり沸騰するわけではない
クレームというと、突然お客様が怒り出すように感じるかもしれません。
しかし、実際には、多くの場合、お客様はいきなり沸騰するわけではありません。
その前に小さな変化があります。
返事が短くなる。
声が低くなる。
同じことを繰り返す。
「だから」
「でも」
「さっきから」
という言葉が増える。
こうした変化は、お客様の温度が上がり始めているサインです。
もちろん、すべてのお客様が怒っているとは限りません。
不安が強くなっている場合もあります。
説明が理解できず、困っている場合もあります。
自分の状況をわかってもらえていないと感じている場合もあります。
だからこそ、相手の反応を見ることが大切です。
クレームを防ぐためだけではありません。
お客様の不安に早く気づくためでもあります。
小さな温度変化を聞き逃すと、後で対応が難しくなることがあります。
小さな温度変化を聞き逃さない
電話応対では、お客様の言葉だけでなく、声の温度にも注意する必要があります。
同じ「はい」でも、納得している「はい」と、不満を抑えている「はい」は違います。
同じ「わかりました」でも、理解した時の「わかりました」と、諦め気味の「わかりました」は違います。
この違いに気づけるようになると、応対は少しずつ安定していきます。
特に未経験のうちは、完璧に聞き分ける必要はありません。
ただ、
「少し空気が変わったかもしれない」
「今の返事は少し冷たかったかもしれない」
「説明が伝わっていないかもしれない」
「安心してもらえていないかもしれない」
そう感じたら、いったん立ち止まることが大切です。
そのまま案内を続けるのではなく、確認の一言を入れるだけでも変わります。
「ここまでのご案内で、わかりにくい点はございませんか」
「説明が早くなっておりましたら申し訳ございません」
「今の点をもう一度整理してご案内いたします」
「順番に確認いたしますので、ご安心ください」
このように、相手の反応を見ながら調整することが大切です。
危ないと思ったら早めに合図を出す
電話応対中に、
「これは少し危ないかもしれない」
「お客様の温度が上がってきたかもしれない」
「自分だけでは対応が難しいかもしれない」
そう感じたら、早めに管理者へ合図を出すことも大切です。
クレームになってから助けを求めるより、温度が上がり始めた段階で知らせる方が対応しやすくなります。
管理者が状況を把握できれば、リアルタイムでモニタリングをしたり、必要な指示を出したりできます。
反対に、何も知らせないまま対応を続けてしまうと、管理者が気づいた時にはすでに大きなクレームになっていることもあります。
早めに合図を出すことは、恥ずかしいことではありません。
むしろ、現場では大切な判断です。
お客様に安心してもらうためにも、自分一人で抱え込まないことが大切です。
質問できない時に困りやすい理由については、こちらの記事でも詳しく書いています。
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終わった後に振り返ることも大切
もし対応がうまくいかなかった場合は、終わった後に振り返ることが大切です。
なぜクレームになったのか。
どのあたりでお客様の温度が上がったのか。
どの言葉が引き金になったのか。
どの時点で管理者に相談すべきだったのか。
次は何を変えればよいのか。
ここを振り返らないと、同じことを繰り返してしまいます。
ただ失敗しただけで終わらせるのではなく、次に活かせる経験に変えることが大切です。
コールセンターでは、こちらが普通に案内したつもりでも、お客様には冷たく感じられたかもしれません。
急かされたように感じられたかもしれません。
気持ちをわかってもらえていないと感じられたかもしれません。
その理由を確認することが、次の応対につながります。
もし自分では理由がわからない場合は、管理者に確認しましょう。
「どのあたりからお客様の温度が上がっていましたか」
「どのタイミングで相談すべきでしたか」
「次はどう対応すればよいですか」
「どの言い方を変えた方がよかったですか」
このように聞くことで、経験が自分の力になります。
電話応対は、回数をこなすだけで上達するわけではありません。
振り返って、次の行動を変えることで上達していきます。
信頼される人と問題視される人の違いについては、こちらの記事でも詳しく書いています。
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50代未経験で何から読めばよいか迷う方は、こちらの記事でも詳しくまとめています。
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▶ 50代未経験がコールセンターで長く働くために最初に読む記事まとめ
まとめ
50代未経験でコールセンターの仕事を始めた時は、最初はマニュアルを読むだけで精一杯になることがあります。
それは自然なことです。
ただ、電話応対の目的は、マニュアルを読むことではありません。
正しい案内を機械的に伝えることだけでもありません。
困って電話をしてきたお客様の話を受け止め、必要な案内を行い、少しでも安心してもらうこと。
これが本来の目的です。
そのためには、相手の反応を見ながら案内する力が必要です。
返事の短さ、声のトーン、繰り返される言葉、小さな違和感。
そうした変化に気づけるようになると、お客様の不安にも早く気づけます。
危ないと思ったら、早めに管理者へ合図を出す。
対応後は振り返る。
理由がわからなければ確認する。
この積み重ねが、電話応対の力になります。
話す技術だけでなく、相手の反応を見ながら案内する力。
それが、コールセンターで長く働くために大切な力です。
